小児うつ病
最近子供にもうつ病が増えてきたといわれますが、もともとうつに似た症状は子供にもあり、それが取りあげられているだけのことといえます。「子供は未来への希望をもって、明るく元気に毎日の生活を楽しんでいなくちゃダメ。」だの「子供は単純だから、ストレスなんてないし、人生に絶望なんて感じるわけがない。」と決めつけてはいけません。大人が無意識にでもそう思っていると、うつ病のサインを見逃してしまいますよ。
<症状>
悲しそうな表情・無関心とひきこもり・楽しいことが楽しめない・長引く自責の念…などが症状として現れます。しかし子供の場合は精神的にも未発達で言語化が進んでいないため、典型的なうつ症状よりも、だるい・頭痛がする・食欲がないといった身体の不調に現れてくるケースが多いようです。これを仮面うつ病といいますが、本人も周囲も気づきにくい症状です。自覚のないまま自殺を図ったりもするので、注意が必要でしょう。
<原因>
セロトニン等の神経伝達物質が減少することで、うつ状態が引き起こされます。ストレスが誘因になる場合も多いようですが、反応には個人差があります。うつ病の根本原因はまだわかっていません。
<治療>
薬物療法と精神療法との組み合わせで治療をします。抗うつ薬は、血漿中の濃度を測定しながら投与量を決定。また誘因となったストレスを同定するため、家族と社会的環境について評価をすることが必要で、短期入院も考えられます。子供のうつ病は、躁うつ病として躁状態に移行するパターンもあり、うつ状態から躁状態への「切り替え」に要注意。うつ状態が治った後も、しばらく経過を観察します。